小説家になろうのお話

小説家になろう。イメージとしては異世界転生やら俺TUEEEE!やら、あまりいい印象がない人もいるかもしれません。しかし、面白い作品もたくさんあるのです!やれ「異世界はスマートフォンとともに」やら「デスマーチから始まる異世界狂想曲」やらが話題に昇りますが、アニメ化、書籍化すらしていない名作もあります。というわけで私のオススメを紹介していきます。

 

①用務員さんは勇者じゃありませんので

https://ncode.syosetu.com/n4202cb/

あらすじ

部分的学園異世界召喚ですが、主役は用務員さんです。
魔法学園のとある天才少女に、偶然、数十名の生徒・教師ごと召喚されてしまいます。
その際、得られるはずの力をとある生徒にぶんどられてしまった一般人の用務員さん(三年契約延長なし。三流私大卒業後就職に失敗、派遣や契約社員で食いつないできた25歳、用務員二年目、手取り月給12万弱)。
ぶんどられた用務員さんを不憫に思った神様に用務員さんが願ったことは……。

 

この作品は私が1番好きななろう作品です。魔法のある世界が舞台です。定番の学校、クラス転生で始まりますが、まさかの能力を他の生徒に奪われ、いきなりハードモード。この作品は基本的に俺TUEEEE!もご都合主義の展開もありません(雪白に出会ったことくらい)。異世界にいるはずなのに、まるで現実社会のような理不尽さを感じながらもただ生きるために全力を尽くす、そんな作品。そしてこの主人公、蔵人は基本的には人と関わるのを嫌います。エピソード毎に出てくる登場人物も大体は蔵人に対していい印象を持っていませんし、敵対していることもままあります。しかし、蔵人を理解し、その生き方を肯定し肯定された登場人物にしか良さを理解できないような絵をエピソードの終わりに描きます。この絵を描くというのが中々に味を出しています。蔵人自身の心情を、絵という形で表現し、途中悩みながらも描いていた絵をエピソードの終わりに完成させる。蔵人のその人物との関わりや、相手への理解を深めて初めてその絵は完成します。そういう演出が細かくて好きな点の一つです。

 

 

②カルマの塔、カルマの塔継承編

この作品は異世界転生でも俺TUEEEE!でもない、最後まで主人公が最強になることはなかった作品です。魔法や特殊能力などない世界で、泥臭さと執念に溢れた主人公が這い上がる、そんなお話。

なぜURLがないのかと言うと、この記事を書いている時に気がついたのですが作者様がアカウント削除を食らったようで、残念ながらアーカイブが全て消えてしまいました。幸いカクヨムの方で連載再開するようなのですが、作者様の方に今までの文章が完全な形で残っておらず、今すぐに全話投稿できる状態ではないようです。第二部、継承編もクライマックス、とても熱い展開の連続だったのですが...。ともあれ続きは読めるそうなので気長に待つつもりです。

 

あらすじとしては、ローレンシアという大陸の大国アルカディア。この奴隷階級の少年が主人公です。少年には何よりも大切な姉がおり、少年は姉の騎士でした。奴隷なので貧しいながらも必死に働く姉弟。友人にも恵まれ、厳しいながらも確かな幸せがありました。そんな中、ある時突然姉が貴族に買われてしまいます。姉の騎士として姉を守ると誓った少年。しかし、姉は階級差という残酷な現実にさらわれ、最愛を奪われます。そして、少年の元に姉が帰ってきます。物言わぬ姿となって...。そこからは、少年の復習劇。この世の全てを恨んだ少年が、王を目指す物語。

 

こんな感じです。それっぽく書いてみましたがいかんせんアーカイブがないのでもしかしたら間違っているかも...。大体読み返す時って1話はそんなに読まないですよね、そういうことです。

この作品の特徴は魅力的な登場人物と世界観です。主人公の少年、アルレット。何よりも大切だった最愛の姉を貴族に殺されたことにより、貴族に復讐し、世界に復讐するため何をしてでも王になることを決意します。しかし、アルレットには才能がありません。そこらへんがこの話の見所となります。

世界観としましては、ローレンシア大陸では長い間戦争が行われており、いわば戦国時代です。各国と敵対している状況のため、全ての国に注意と戦力を投じなければいけません。しかし、この世界では『巨星』と呼ばれる武人がおり、個人で圧倒的な力を持っています。何も魔法を使ったり、特殊能力があるわけではありません。圧倒的な才能と、圧倒的な身体能力、そして圧倒的な技術。これらを持ち合わせた3人が『巨星』と呼ばれています。例えば戦場に巨星が現れると、自軍の士気は上がり、敵軍の士気は下がる。生半可な兵士では見ただけで震えが止まらなくなるほどのオーラを持つ怪物。自ら先陣を切り、その力をもって敵を粉砕する。この巨星を含めた《強さ》の設定がこの作品の持ち味です。これは読んでみないとわからないので本当に呼んで欲しいんですが...。熱い展開が多く、「この対戦を見たかった!」「この二人が戦う展開!?」というようなドキドキワクワクさせられる展開の多い作品です。

また、この作品で1番重要な点が、『才能』である、というところも面白いポイントです。これはあまり言うとネタバレになってしまうので言えませんが、才能が全てを決める世界で、才能のない主人公がどう戦っていくか。勝つために、這い上がるために全てを捨てて戦う主人公の業は、遥か高く積み上がる...。

 

長くなったので私が1番好きな2作品について書きました。本当にどちらも何回読み返しても飽きない素晴らしい作品です。用務員さんの方は書籍化されており、書籍バージョンで8巻で完結しているそうです。この作品の難点は更新ペースがとても遅いことです。最新話から半年以上更新されていません。

カルマの塔は書籍化はしておらず、一部は完結し、現在第二部を連載中...に削除。あと10話もしないで完結しそうだったので本当に悲しい...。カクヨムで再開するのでとりあえずは安心です。

この二つの作品。皆様も是非読んでみてください。