なろう小説のススメ

 お久しぶりです。夏休み暇すぎてずっとなろう小説を読み漁っていたのでまたオススメでも紹介しようと思います。というかアニメ化、書籍化する作品間違えてないか!?いせスマとかデスマとか本当に面白いんか!?まあなろうの傾向としてランキング上位は転生や異世界召喚系のが流行りですし、極端に鬱展開を嫌うようで...。現在はパーティーを追放されて復讐するみたいな復讐系が流行りらしいです。自分はランキングは全くみないでスレなどで探すのが常なのでわかりませんが、傾向が極端に偏りすぎて結果似たような作品がアニメ化する感じっぽいですね。うーん。前回紹介したカルマの塔なんて書籍化すらしてませんからね、あそこまでのクオリティの作品が鬱展開が多いからという理由でランキングに入らないのは意味が分からないです。

 

 そういえば、ありふれた職業で世界最強という作品がアニメ化するらしいです。自分は3回ほど読みましたがなろうテンプレですね。まあまあ面白いのですが序盤の軽い鬱展開で作者が鬱展開はここだけ!と言ってるのがなんとも今のなろう界隈を表しているというかなんというか。。。あ、でも最後の展開は中々熱かったですね、神戦はすごい面白いです。

 ハーレム物ですがユエ(最初のヒロイン)以外の女性キャラの主人公への気持ちの理由付けが弱い気がします。なろうを見分ける上で大切なのは人間関係の説得力だと自分は思います。いせスマやデスマはそれが弱いんですよね、主人公が強いから女が寄ってくる。なんとも世知辛いです。。。

 

 そんな愚痴は置いといて、早速(早くない)作品の紹介に入りたいと思います。

 

 

 

①死神を食べた少女

死神を食べたらどうなるんだろう。
私には良く分からない。分かるのはたった一つ。
お腹がすいた。
だから、こいつらの首を持って偉い人に届けよう。
きっと美味しい物が食べられる。
さぁ、準備が出来たら出発だ。

 こちらの作品は七草またりさんの少女シリーズ(?)の第一作。転生や召喚系ではない、純粋な戦記物です。少女シェラの村に戦火が降り注ぐ。貧しい村で育ったシェラは満腹を感じたことはなく、殺される寸前ですら「お腹が空いた。」と、食べ物を探す。空腹による幻覚か、死神がシェラを見下ろしている。死神の取り付いた、自分を殺そうとしていた兵士をみてシェラが思ったことは『こいつの柔らかそうな喉元、とても美味しそう』だった...。

 そのように始まるこの物語。世界観としては、ムンドノーヴォ大陸のユーズ王国とキーランド帝国の戦争が舞台である。王国は凶作により飢餓者が続出、それに乗じ帝国は王国の姫であるアルツーラを担ぎ、資金と兵力の支援を行い王都解放軍を設立させる。その解放軍と王国軍の戦争を描いている。

 シェラは死神を食べたことによって死神の如き強さを見せる。食べるため、彼女は王国軍に入り、頭角を現していく...。というのが大体の話。こう見ると、俺TUEEEE!に見えますね。まあ間違ってはいないのですが、この話の魅力はストーリーの動き方です。シェラ一人が強かろうと、もともと食料不足のせいで王国は終始押されます。確かにシェラは強い、しかしそれだけでなんとかなるわけではないのが戦争です。ここら辺のなんとも言えない感じの雰囲気がたまらなく好きです。また、シェラと兵士たちの結束というのも見どころです。シェラの強さに惹かれ、白いカラスの旗の下で戦うシェラ騎兵隊とシェラの関係性が素晴らしいです。終盤の芋畑を守るシーンは涙なしには見れません。

 この作品は、のちに書かれた「火輪を抱いた少女」「勇者、或いは化物と呼ばれた少女」「極星から零れた少女」「みつばものがたり」と世界観がつながっており、ところどころでおっ!と思える単語があったり、ガッツリ繋がっているわけではいませんが、登場人物が、、、だったりと、死神だけでなく全作品読んでほしいです(みつばものがたりの続きはまだですか...。)。全37話と、死神自体は短いので比較的読みやすいと思います。個人的にはシリーズの中では死神が好きですが、他の作品も負けず劣らずのクオリティで本当に全部読んで?そして全部読むのであれば、死神に登場するカタリナのフルネームを覚えておくといいでしょう。勇者を読んだとき、後日談の謎が解けます。あ、順番は出した順番に読むことをオススメします、というかその順番で読みましょう。

 

 

②傭兵団物語

舞台は中世、獣人、オーク、エルフ、ドワーフ、などの様々な種族が時に共闘し、時に対立する世界の物語。暴力が蔓延る世界で奴隷として日々を送る主人公ユリウは、とある傭兵団に解放された。そんなユリウが傭兵団の中で苦悩し、葛藤しながらも上へと上りつめる。その全てはとある約束から始まった。

 こちらも転生などではなく、魔法も存在しないファンタジー世界での物語。主人公ユリウが傭兵団で様々な出会いと別れを経て成長していく話です。これはあらすじとか書きたくないですね、まず読んでほしい。というか濃密すぎてあらすじをどこまで書いていいやら…。この物語の魅力はなんといってもユリウとそれを取り巻く環境、人との関係と葛藤、成長です。なんか書きたいのですが書いたらネタバレになりそう…。あんまり前情報なしで読んでほしいし読者にも物語に翻弄されてほしいです。そして成長していく主人公、人間味のある登場人物。うん、これ以上は書けません。読め!

 

 

 

③リライト・ライト・ラスト・トライ

神獣の守護人は、異世界からやって来る。
守護人の護衛官を務めることになった青年トウイ。そして選ばれた少女・椎名。
彼女の願いは、故郷への帰還ではなく、世界の安寧でもなかった。
──「望むものは、たったひとつ」

 こちらは異世界召喚系の物語。軽くネタバレするとループ物です。神獣の守護人として日本から召喚されたシイナと護衛官トウイのボーイミーツガール…というには少しばかり重い話です。基本的に物語はトウイ視点とシイナ視点が交互になります。自分はこの書き方がとても好きで、二人の互いへの気持ちや考えが物語が進むにつれどのように変化していくのかが見所です。こちらの作品もあまり書きすぎるとネタバレになってしまいますが、ループ物といっても、毎回ループするたびに建物の構造や襲い掛かる厄災は変わり、そのたびに対応しなければならない鬼畜仕様です。そのあたりが従来のループ物とは違う点で、他にもループにおける負の側面を重点的に描いた作品だと思います。

 鬱展開は多いですが、ラストが本当にすっきりできますし、鬱展開とはこのカタルシスを味わうために存在するのだと思わせてくれます。

 余談ですが、シイナって名前なのでどうしても夏川がでてきてしまい、俺の中でシイナ=夏川の図式が出来上がってしまいました、合っているかは別として…。

 

 

今回はこんな感じで終わろうと思います。毎回ですが、自分が鬱展開が好きなので鬱いものばかりですね…。でもその分ラストの爽快感というか読了感は素晴らしいものがあります。

常日頃から思っているのですが、鬱展開とはそれを超えた先にあるハッピーエンドを楽しむために存在すると思っています。ただ鬱にしよう、ではなく、主人公や仲間がそれを乗り越え幸せな未来を手に入れるためにもがくのがいいのであって、単純に鬱なだけでは足りません。まあ自分は単純に鬱なのも好きですが。リライト・ライト・ラスト・トライではその鬱展開の良さを改めて教えてもらいました。

 まあ今回の記事はひとえに傭兵団物語が素晴らしすぎて広めたい!と思って書いたのですが、死神を食べた少女も書いてなかったし、この前読み終わったリライトも素晴らしかったので思った以上に筆が乗りました。前回の記事も含め、紹介したものは最高に面白いというのは自分が保証するので読んでみてください。